抗がん剤「FF-10501」

http://www.fujifilm.co.jp/corporate/news/articleffnr_0775.html

富士フイルム株式会社(社長:中嶋 成博)は、このたび、抗がん剤「FF-10501」の再発・難治性骨髄異形成症候群(MDS)を対象とする国内第I相臨床試験を開始しましたのでお知らせします。

MDSは、血液腫瘍の一種で、血球を作る造血幹細胞に異常が生じて十分な量の血球を作ることができなくなった結果、血球減少を起こす疾患です。また、一部、予後不良の患者で急性骨髄性白血病に進行する難治性疾患でもあります。現在、MDSの患者数は国内1万人程度と推定され、特に高齢者に多く認められます。

富士フイルムは、平成20年に、富山化学工業の買収を機に医薬品事業へ本格参入しました。その後、自社でも新薬候補を研究・開発する組織を整備するなど、画期的な医薬品の創出に向けて取り組んでいます。今回の「FF-10501」は、自社での研究・開発をもとに初めて臨床試験をスタートさせる医薬候補品です。写真フィルムの開発で培った、高い化合物の合成力・設計力を生かして薬剤の経時安定性を向上させ、さらに優れた解析技術を駆使することで新規作用メカニズムを解明し、薬効を確認できるバイオマーカーの候補を同定した抗がん剤です。

「FF-10501」は、血液がん細胞の増殖を抑制するだけでなく、正常機能を持つ細胞への分化を促進することが期待されています。また、既存のMDS治療薬が主に注射剤であるのに対して、「FF-10501」は経口剤であるため、MDSに多い高齢患者のQOL向上に寄与すると考えられています。

富士フイルムは、合成力・設計力や解析技術、ナノテクノロジー、生産技術など写真フィルムなどで培った技術・ノウハウと、グループの中核会社(*1)の技術を結集・融合させて、画期的な医薬品の研究・開発、生産プロセスの創出に取り組んでいます。今後、アンメットメディカルニーズが高い「がん」を重点領域と捉え、研究・開発を積極的に推進して事業展開を図るとともに、革新的な医薬品の提供を通じて世界の医療の発展に貢献していきます。