骨髄異形成症候群(MDS)の予後

骨髄異形成症候群の分け方についてはまだ変遷途中ですが、病気の進行に伴って、以下のように「病型の移行」がありうると考えられています。

RA(軽症)

RAEB(重症)

白血(病)化(急性骨髄性白血病へ)

不応性貧血(RA)や鉄芽球性貧血(RARS)では、白血(病)化へと病型が移行していくのは3割以下と少ないです。RAの発症後、生存期間は通常約3年以上あります。ただ、病型が白血病に移行せずにRAのままの場合でも、末梢血における血液細胞の数の減少(白血球減少により、免疫力が落ちて感染しやすくなる易感染性、赤血球減少=貧血、血小板減少により、出血しやすくなる易出血性)が年月とともに高度になってしまい、輸血が必要になる場合があります。輸血が長期間続くと、輸血による肝臓障害などの副作用が出現したり、白血球減少による易感染状態から感染を繰り返したりします。RA(やRARS)における5年から10年生存率は30〜40%です。

芽球の多い不応性貧血(RAEB)、あるいは骨髄中の芽球が20〜30%の不応性貧血(RAEBt)は予後不良であり、2年生存率は約20%、5年生存率は約10%以下です。骨髄異形成症候群から白血(病)化した場合は、骨髄異形成症候群の時期を経ないで発症した急性骨髄性白血病(de novo Acute Myeloid Leukemiaと呼ばれます)よりも、むしろ抗がん剤治療に対する治療の反応性が低く(治療抵抗性)、予後は不良といわれています。


骨髄異形成症候群における主な死因は、血小板減少による出血や、白血球減少による感染です。

また、骨髄異形成症候群の多数の症例の予後を解析して、予後を予測する方法も研究されています。予後にかかわる主な因子は、以下の3項目と考えられています。

•骨髄の未熟な血液細胞(芽球:blast)の割合
•末梢血での血液細胞数の減少の程度
•染色体異常の種類(程度)

IPSS(International Prognostic Scoring System:国際予後判定システム)for MDSは、

•骨髄の未熟な血液細胞(芽球:blast)の割合
•末梢血での血液細胞数の減少が3種類のうち何種類あるか?
•染色体異常の種類(程度)

という3項目が予後に深く関連すると考えて、これらを点数化して予後を予測する方法です。

http://ganjoho.jp/public/cancer/data/MDS.html#prg7